注目の研究者


◆池田 貴幸(いけだ たかゆき)
東京工業大学 倉林・美多研究室



ネコ型脚式走行ロボット・ランボット2C
Runbot 2C

   
 

○ 東京工業大学・・・・倉林・ 美多研究室/ 池田貴幸先生の研究室にお伺いしました。

今回は、ロボット制御工学(可変拘束制御)で夢の4足走行ロボットの実現を目指している若手研究者の方のお話です。

 

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[1: 研究を始めたきっかけ]
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◇ :研究を始めたきっかけはどういったことだったんでしょうか?
◆ :1997年にホンダが始めて2足歩行ロボットP2を発表しましたよね。僕はあの頃まだ学生だったんですけど、それを見て2足ロボットで歩行や作業はもうすでにたくさんいるんだって思ったのです。それじゃ、まだできていない「走る制御」の分野をやってみようと思ったんです。

◇:やられていないのは走るロボット。高速で走るロボット。ということから、猫型ロボットの研究を始めたわけですか?
◆:そうですね。結局地上で一番早い動物がチーターっていわれているんで、それを目指そうと思いました。ただ、東京工業大学 美多研究室に学生として入学したのは、最初は何かを制御できればなんでもよかったんです。たまたま、それがロボットになったっていうか・・・・・・それと車とはまた違った乗りものがあってもいいんじゃないかと思いまして。


◇:初めてなにかを制御した、できたなと思ったのはいつ頃でしたか?
◆:初めて制御したっていうのは、学生時代の4年生の時、倒立振子というのを自分で作った時ですね。それが一番楽しかった。半年くらいで作っちゃいました。没頭しました。ただ、ちょっと早く作りすぎた。半年くらいで作っちゃったので、あまりにも簡単だと指導教官に判断されて、研究テーマを変えられちゃいました。(笑)当時は没頭すると24時間研究のことばかり考えていましたね。


◇:今はどう?
◆:今は24時間ではないかな。20時間くらい(笑)。

 

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[2 : 猫型ロボットの完成時期]
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◇ :ところで、このロボットを研究室の外で走らせられるようになるには何年くらいかかるんでしょうか?
◆ :研究を始めた当初、とりあえず10年という目標は立てていたんですけれども、これまでに6、7年くらいやって、ようやく制御できるところまできましたね。制御に関してはOKです。ただ、それ以外のアクチュエーター、センサー、そういったものがまだ市販されていない。

◇ :それがでてくれば、十分考えられると?
◆ :現状でもおそらく作れると思うんです。ただし、すべて特注でお金がかかる。難しい話だけれども、とりあえず、はやく作れといわれれば、それに比例してお金もかかると思う。しかも、僕一人でできる仕事ではないと思っているので、設計も4~5名のスタッフに手伝ってもらって、実際の製作はいろいろ専門のところにお願いしなきゃならないでしょうね。

◇: 2足で走行させるのと、4足で走行させるのとではどっちが複雑?
◆ :4足の場合はやっぱり、倒れない分、倒れる限度っていうのがゆるいですよね。2足のほうが実はバランス制御が難しい。

◇:不整地なんかはどうですか?
◆ :不整地歩行・走行に関しては、いろんな研究を研究者の方がやっていると思うんですけれども、僕は、どのくらい高速で走破できるかというのを目標にしてます。今でもちょっとした凸凹だったら問題ないと思っていますが、大きな障害物があって、それを飛び越えなきゃいけないとかってなると、やっぱりパワーの問題や、周りの環境を認識する目のカメラのセンサーや認識装置が高速にならない限り無理だと思っています。

 

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[3 : 高速制御技術の応用]
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◇:4足高速走行の制御技術っていうのは、他にどんな応用が考えられるのでしょうか?
◆:高速であるということに関しては、いろんなことに使えると思うんですね。まずは既存のロボットを高速で動かすことができる。そういったものには2足のロボットとか作業ロボットとかいろんなロボットがありますので、それを高速で動かす。普通のゆっくり動くロボットっていうのは、1/10~1/100秒間隔くらいで制御しているんですけど。うちはそれが1/1000以下になってる。それが満たせない場合は中で仮想的にモデルを作って、そのモデルで状態を推定しながら制御をやるということをやっています。こういうノウハウっていうのはそのままいろいろな制御分野に使えるでしょうね。僕がやっている研究は、今は走行の制御ですけど、別にそれにこだわっている訳ではなくて、いろいろなことをやってみたい。皆さんがやっていないことを、やってみたい。今後いろいろなものに転用しようと思っています。例えば高速でボールを掴んだり、ボールを打ったりとか。そういったようなことに十分使えると思うし。スポーツをするロボットとかが考えられるのではないでしょうか。


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[4 : これからの夢]
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◇ :最近、産学連携といわれるようになってきましたが、関心はありますか?
◆:産学連携と言っても実際は昔からやられているので特別これといったことはないんですが、しかもありがたいことに僕の場合は、いまでいろいろな会社といろいろなことをさせていただいているので。ただ今後、若い研究者には研究しやすい環境が出てくるのかなという気がします。こういったことは非常にいいことだと思っているので前向きに考えたい。


◇:これからの夢は?
◆ :夢ですか?やはり、まだ、ロボットだけではなくていろいろなものの制御に挑戦したいですね。


◇:今後どんな会社と共同研究を行ってみたいですか?
◆ :そうですね、一緒になってハードウエアーを開発してくれるとこですね。

◇:ありがとうございました。

 
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